2006年02月04日

まっすぐ天へ

書名:まっすぐ天へ(単行本1巻のみ既刊、連載中断中)
著者:的場 健/協力・金子隆一
出版:講談社(イブニングKC)
内容:二人の兄弟がいた。兄は宇宙への夢を持ち、JASDAにてロケットの開発
  に携わる飛騨ショーイチ。弟は建設会社にて長大なつり橋の建設技術に取り組
  む飛騨健二。(なぜか、兄のほうは漢字が不明\(ToT)/)

  道は違えども、いずれ劣らぬ技術者魂の持ち主である。ある日弟は兄に「静止
  衛星に届く建造物・軌道エレベーター」のアイデアを語る。今あるロケット技
  術を進めることこそ専決と、これを笑い飛ばす兄。しかし、JASDAのロケット
  打ち上げの失敗による打撃は大きく、またちょうどその頃スペースシャトルが
  軌道上のデブリ(衛星等の破片)に衝突して町に墜落、大惨事となるという悲
  劇が起き、世界の宇宙開発は危機に瀕する。

  「軌道上に溢れる大量のデブリをどうにかしない限り、有人宇宙飛行は無期延
  期とせざるをえない・・・」このときショーイチが思いついたデブリ除去のア
  イデアは、「軌道エレベーター」を実現しえる新素材の出現と共に、世界中を
  揺るがす大プロジェクトへと発展していく・・・・
感想:SFに多少詳しい人だったら、「軌道エレベーター」のアイデアを聞いたこと
  は結構多いと思う。しかし一般にはあまり知られていないようなのでここで書
  いておくと、要するに「軌道エレベーター」とは、赤道上の静止衛星軌道(つ
  まり自転する地球から見て静止して見える人工衛星の軌道)と、その真下にな
  る赤道上の一点を結ぶくもの糸のような建造物である。これがあれば、エレベ
  ーターに乗る感覚で誰でも宇宙へ行けるのだ。

詳しくは例えば
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8C%E9%81%93%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%BF

  こう聞くと夢みたいなものだが、既にかなり現実的な技術論議が進んでおり、
  あとは必要な強度を持つ軽量な素材の出現を待つばかりという段階に達してい
  る。この物語では、この「軌道エレベーター」を建造して、そこを軸に巨大な
  ネットを張り全てのデブリをつかまえてしまえ、という壮大なアイデアが語ら
  れる。そしてなんと言っても本作品の焦眉は、国際会議での独走ゆえに謹慎の
  身となったショーイチが、「スリランカに住むある大富豪」と会見するシーンだ。

  明らかに、実在する世界的に有名なSF作家がモデルであろうと思われる彼は、
  ショーイチに語る。地球は自ら進んで生命を育んでくれたわけではないのであ
  り、どんな生物も自分のために環境へ働きかけてきたということ。絶滅と進化
  は常にコインの裏表にあり、人類はその輪廻から脱出するための力を手に入れ
  たこと。軌道エレベーターこそ、その具現であること。

  そして最後には強烈な執念を託した言葉を放つ。
「・・・なあ、ミスター・ヒダ。私は宇宙へ行きたいんだよ。・・・だがもはや私はロケットに乗れる肉体ではない。・・・軌道エレベータが実現するのなら、それまで私は10年でも20年でも生き続けてやる!」


  ヒダは想う。
「ああ、この人は(海から陸地へ這い出した最初の両生類と同様に)最初の一匹なのだ!」


  私はこのくだりを読んでいるとき涙が止まらなかった。私も「最初の一匹」
  とまではいかないが、その最初の一匹にあこがれて歩み続けている一人の技
  術者だと自認しているのだから。(たまたま事務の世界に身をおいていると
  はいえ、心はいつも、そこにある。)

  さて、物語は夢を語るだけでは終わらせられない。このようなプロジェクトが
  一国に納まるわけもなく、米国を筆頭とする様々な政治的な圧力による紆余曲
  折を予感させつつ、1年ほど前にドラマの一区切りを迎えて連載は中断してい
  る。ここから先を描くのは至難の業に違いないが、是非続きを書いて欲しい。
posted by 半端者 at 14:59| Comment(0) | TrackBack(3) | 軽めの書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Tracked: 2006-02-04 15:39

このエレベーター宇宙までいきます
Excerpt: このサイト左側のバナーにありますLiftPort社がサイトの日本語翻訳者を募集しているようです。 結構前から翻訳者を必要としているという募集があり、どうしようか迷っていたのですが、今回明示して日本語を..
Weblog: 暇人短剣符
Tracked: 2006-02-11 13:59


Excerpt: 軌道エレベータImage:Nasa space elev.jpg|thumb|NASAによる軌道エレベータ想像図軌道エレベータ(きどうエレベータ)は、惑星などの表面から静止軌道以上まで伸びた軌道を持つ..
Weblog: SFフリーク集合!
Tracked: 2008-02-26 16:27
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