2007年10月01日

ハイドゥナン

書名:ハイドゥナン(上/下)
著者:藤崎慎吾
出版:早川書房
内容:西暦2032年。未曾有の地殻変動によって、南西諸島に沈没の
  危機が迫っていた。最悪の場合、沖縄本島も含む島々が海面下
  に没するかもしれない。この危機にあたり、人命よりも領海=
  海中資源喪失に対応することを密かに優先する日本政府。それ
  に反発した植物生態学者・南方洋司、地質学者・菅原秀明ら
  6人の科学者達は極秘のプロジェクトを開始する。

  一方、与那国島の巫女・後間柚は不吉な啓示を受ける。「琉球
  が危ない。琉球の根を掘り起こせ。」・・・そして、「音に色
  を視る」共感覚を持つ青年・伊波岳志が柚と出会ったとき、運
  命の輪が音を立てて回り始める。地球科学・生命科学の様々な
  アイデアを大胆に駆使した、SF大作!
感想:表紙のあおり文句は「日本沈没をしのぐ、日本SF史上最高
  の科学小説」とあるが、それはちょっとおおげさであろう。
  確かに南西諸島沈没へのプロセスと、それを「阻止する」ため
  の原理・アイデアはかなり斬新であるし、実在の潜水調査船
  「しんかい6500」とか海底掘削船「ちきゅう」についての
  綿密な取材から描かれたそれらの後継機が活躍する様はすごい。

  しかし、それらアイデアを結びつける様々な架空テクノロジー
 (共感覚と量子的記憶、アカシックコードの科学版ともいうべき
  ISEAC=圏間基層情報雲理論)がいまひとつ書き込みが
  足りないのが残念である。とりわけ、裏のテーマともいうべ
  き「エウロパ探査」に関する部分とのストーリー的結びつけが
  不十分にしか見えないと言う点が実に不満。

  ただこのISEAC理論そのものはすごく魅力的なテーマだと
  思うので、是非今後これを様々な角度から発展させて欲しい。

  ちなみに、ハイドゥナンというのは南与那国島、という意味。
  与那国島の南方にあるとされる理想郷であり、仏教的に言え
  ば西国浄土にあたるものと思えばだいたい間違いないだろう。

posted by 半端者 at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 軽めの書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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