2007年10月08日

哲学思考トレーニング

書名:哲学思考トレーニング
著者:伊勢田哲治
出版:ちくま新書
内容:宣伝文句より〜テツガク、なんて小難しいだけで、日常の
  現場では何の役にも立たないのではないか?否、それは工夫
  次第で志向のスキルアップに直結するものだ。本書では、分
  析哲学、科学哲学、懐疑主義、論理学、倫理学などの思考ツ
  ールを縦横無尽に使いこなす術を完全伝授!もっともらしい
  屁理屈や権威にだまされず、かといって不毛な疑いの泥沼に
  陥ることもなく、一歩ずつ筋道を立てて考え抜くコツが身に
  つく。すぐにも応用可能なノウハウを習得しながら、哲学的
  思考の真髄も味わうことのできる、一粒で二倍おいしい知の
  道具箱。

感想:権威や偏見に囚われることなく、いかにして人の考え方を
  理解し、自分の考えを明確化し、そしてそれを他者に理解さ
  せて知的コミュニケーションを成立させるか。そのために必
  要な思考方法を最も簡易な用語で表現すると、恐らくは「ク
  リティカル・シンキング」という哲学上の用語が最も適当だ
  ろう。

  本書ではこれを「情報の送り手と受け手双方の共同作業の中
  で、社会に共有される情報の質を少しでも高めていくための
  ものの考え方」と位置づけ、「最初の心構えをどうするか」
  「議論をいかに明確化するか」「様々な周辺の情況(文脈)
  に応じた対応」「様々な前提の建て方」「様々な推論とその
  適応上の留意点」について分かりやすく解説している。

  本書のおかげで、日ごろ知らず知らずのうちに心がけていた
  「生産的な議論をするうえでの心構え」について、理論的な
  裏づけをこの本から再確認することができた。世の中の一般
  に「頭が良い」ように見える人の中には、難しいことを難し
  いままでしか説明できず、その自覚もないため言いっぱなし
  になったまま、それでも自分では議論をした気になっている
  人が実に多い。もちろん、かく言う私自身もそうした部類に
  入りがちなのは承知している。

  せめて常に謙虚に自らの行いを振り返り、改めるべきは柔軟
  に改めることを恐れず、生産的コミュニケーションの実践を
  図っていくべく心がけていきたいものだ。

  なお、本書では「クリティカル・シンキング」のほんの一側
  面をハウツー的に説明したものでしかないとも言えるので、
  機会があったらさらに考えを深めておきたい。
posted by 半端者 at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 硬めの書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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